2016 0903 「曖昧」

好きとは本当に曖昧だ

男は色欲に負けて勘違いをしただけかもしれず、女はいっときの胸の高まりでそう判断したのかもしれぬ。幻想的な出来事の連続に酔いしれているだけだとするならば、永遠に続けば良い。永遠に酔いしれていればいい。永遠に酔いしれていたい。平日、夜の高速バスは静かだ。
私は目が悪いために、街の光やすれ違う車のライトがぼやけて見える。ラブホテルとビジネスホテルと一流ホテルが放つ人工の光は全部一緒に見えた。近づけば区別はつくのだが、バスは私の目の悪さなど気にかけることはもちろん無く、1番早い車線を走る。ビュンビュン走る高速バスに乗って、そんなことをぼんやりと思ってると、出会い系の男達から連絡が入っていた。私は夜の冷たい空気と正体のよく分からない淡い光達に包まれながら、正体のよくわからない男達に返信する。曖昧だ。すべてが曖昧で心地よい。かっちりした洋服なんかを着て、どんな性格でどんな趣味でどんなセックスをするのか想像が出来る真面目な男と遊んだことは綺麗な物語だったけれど、非行少女の心理が邪魔をした。シナリオ通りの物語を描くのはもうウンザリしてる。