2017 0322 「スカウトマン」

そのスカウトマンはよく笑う人だった。

「お姉さん」

あぁよくあるナンパかスカウトパターンか、と思った。まぁ、当たることになるのだけれど。男の人ってあんまり笑わない。私の印象はそうだ。愛想笑いとかをあんまりしない。営業スマイルはにこっとほほえむだけで声を上げたりしない。本当に笑うというのはおなかのあたりからというより、頭から命令が出て、それが反射的に出るのが笑いだと思う。それをやってみせたのが今日のスカウトマンである。

「話すの、下手だったんです。」

一部の人は、自分を自虐することで人の心をつかむのを知っている。それをよく知っている一人なのだろう。裏がありそうな人だからラインを交換した。

 

あのよく笑うスカウトマンはまだスカウトを続けているだろう。今も声をかけているのだろう。かわいいを連発しているのだろう。のどが湿ってるのがよくわかるようなしっとりとした声で。