さみしいさみしいさみしい。

さみしいという感情が私にはほぼない。だから慣れていない。これが本当にさみしいという感情なのか分からないが、もし仮にこれがさみしいだとしたらなんとも言えないものだよね。空気がぬるく、そして薄く、胃を痛みつけるような空間。特に天気の悪い夕方に多い。部屋の中が灰色。耐えられないと思うほど苦しくなる。自分が汚いものだと確信したくなる。そこに衝動性はない。くちびるの皮と口の中の皮をビリビリにしたせいで膿が出てくる。汚いし臭い。パンツには何日も前の生理の血から今日の血まで、たくさん乾ききって付いている。髪の毛はベタベタという音がする。もう1か月前からある缶詰の抜け殻たち。異臭を放つ。生きた死体とまで言うのも何だか自分に酔っている表現なので使いたくない。かゆいかゆいかゆい。身体がかゆい。もうだめだ私はだめだと思えば楽なこと、私は知っているよ。答えはいつも絵本が提示してくれた。きみたちが辛いという言葉を使った途端 私はきみたちに心を動かされて寄り添うけれど 本当はどこかで戻れない道を辿ることを期待しているのだろうか。観賞用にきみを観ていた?。どうでもいい。どうでもいいと思いながらそれでも心の中にずっときみたちを想っている。想うようにしているわけではないのだけれど。ああ、かゆいかゆい。きっと変なものがたくさんわたしに付いている。きみたちにもつけばいいのに、この虫。でもどこかできみたちには付かないでほしいと思ってる。虫に殺される。できれば殺さないでほしい。

 

だれかが帰ってきた。声がする。救われた気持ちになる。声だけなら私はいないのだから。歌ってる。笑ってる。文句を言っている。良かった。きみたちには虫がついていない。きみたちはお家に帰って友だちとラインをして少し疲れて、料理を作って食べ、そしてお風呂に入って少し長い髪にドライヤーをし、歯磨きをしたあとにiPhoneを見ていて、気がついたら寝ていて明日になっていてほしい。かわいい。愛おしい。愛おしいけど憎らしい。部屋の中が真っ暗になってしまった。かゆい。布団についた生理の血がそのままで私はそこで寝る。

 

動いてる。私の心と手が動いている事実を自覚してもなんとも思わない、他人のようで、ごめんね、と言って聞かせる。ほかほかの身体でまた読み聞かせをしてほしい。やわらかい布団とやさしい匂いにつつまれたい。虫さんたちもそうしたらみんなおかあさんが恋しくなってお家に帰る。殺してはいけない。私を殺す虫さんだけど 虫さんは私を殺そうとしていない。死にたくない。死にたくないのに、死にたいな。